Facebook関連バブルは2012年内に崩壊する!?

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先週はLinkedinのIPOがあり公募価格の2倍となり時価総額がいきなり8000億円くらいにとニュースがあった一方で、当サイトでも取り上げたことのあるBlippyは10億円くらい調達していたのに残念なことになるなど、いかに現代のスタートアップやIPO銘柄となったベンチャー企業のボラティリティーの高さが窺える両極端なニュースが市場を駆け巡った。

元々収益化していないスタートアップのValuationなんて、VCがノリでつけてみたりするほど適当なものですし、収益を上げてIPOしてみてもその会社の売上や利益に見え合った株価や時価総額である根拠は乏しく、せいぜいマルチプルで同業種との比較くらいしかできません。この不確実な世の中でDCFでValuationすることに意義を見いだせません。

日本でもスタートアップがつちのこのように増えて、大したことのなさそうなサービスにValuationがついたりLinkedinのIPOの加熱ぶりなどから
「これって、バブルじゃないですか?」と薄々感じる人はいると思うし私がその一人である。

この考えを掘り下げて論じていらっしゃったのがGREEのCFOの青柳さんの昨晩のツイートでありあらためて2011年5月現在がスタートアップやベンチャーにとって「バブルな環境である」という認識ができた。

このバブルを分かりやすく「Facebook関連バブル」と名付ける。そこでバブルがいつまで続くのか?というマーケットの景況感とこのバブル時にスタートアップやベンチャーはどういう戦略を取るべきか?(事業家の視点)というのを考察をしたい。

Facebook関連バブルはいつまで続くのか?

今回のバブルはGoogleを越える時価総額でのIPOとなるのではないかと見られているFacebookのIPOが目玉イベントであり、その周辺の同業種のIPO(Linkedinなど)もある一方でFacebook関連事業のスタートアップも増えており、Facebookなしではweb系のスタートアップが成り立たないというエコシステムが出来上がりつつあり、Facebookというプラットフォーム次第で関連事業を試みるスタートアップのファイナンスにも大きな影響を及ぼしてくるであろう。

FacebookのIPOのターゲットは2012年4月といわれている。早まるとの憶測もあり、マーケットの期待感からしてIPO前にマーケットが加熱することはないのではないか。この「加熱」が意味するところは、同業者のIPO価格にも反映されるだろうしスタートアップのファイナンスにも反映されるだろう。LinkedinのIPOの加熱ぶりもありこの加熱ぶりがさらにエスカレートする可能性は高い。

よって最低でもFacebookがIPOを迎えるまではマーケットの期待感からその周辺分野での加熱ぶりは止まらないであろう。IPO後はどうなるか?
その辺りの参考となるのが上述の青柳さんのツイートの一部である。

「 大手プレイヤーによる投資が一巡し、IPO銘柄の四半期決算が失望を呼ぶ頃」からFacebook関連バブル崩壊の予告をされておりかなりリアリティのあるご意見だなと思いました。

この「失望を呼ぶ頃」の予測が難しいわけですがIPO後、根拠はないですがざっくりと1年くらいは失望を呼ぶ四半期決算はないのではないか?と思うのですがIPO時が加熱し過ぎて3ヶ月後くらいに急落していくダウンサイドリスクもあるでしょう。よって解としてはバブルがはじけるのは「早くて2012年内」と読んでおきたいと思います。

Facebook関連バブル時に取るべきスタートアップの戦略

スタートアップのファイナンスはモロにマーケットの影響を受けます。私がVC業界に席を置いていたのはリーマンショックの直後であり、2008〜2009はスタートアップにとってもVCにとっても非常に厳しい時代でした。2010からソーシャルアプリでにわかに勢いを取り戻し、2011は主にFacebook関連分野でマーケットが加熱してきています。

シリコンバレーでは10億単位のファイナンスのニュースがほぼ日常的に見られ、日本でもつちのこのようにスタートアップが現れてきています。資金がスタートアップ界隈に流入してくるのはマクロ的に見るととてもいいことなのですが、リーマンショックのようにマーケットが狂ってしまうと資金は一斉に引き上げられますしライブドアショック時の日本のベンチャー環境でもその後厳しかったと聞いています。

なのでこの恵まれた時期にスタートアップはしっかりファイナンスして今後の事業展開に備えたり、レイターステージであれば 「バブルがはじける前にExitする」というタイミングを測ることが非常に重要であると感じます。全く青柳さんと同意見でコピペのようで申し訳ないのですが。。。

今の時期は大したことのないサービスでもファイナンスしやすく、バブル崩壊時の市況ではすごく良いサービスでもファインナンスできない事態に陥ります。

仮にファイナンスが上手く行ってサービスを2-3年以内に大きくしたい場合は、とにかく頑張って2012年内に大きくなるように仕込んでおくべきでしょう。2012年に中途半端な規模のサービスに成長していてもこれから攻めたい!という時にファイナンスできなくなるリスクが高くなります。

Facebook関連バブル時に取るべきメガベンチャーの戦略

Facebook関連バブルにより、どうしてもスタートアップ企業のValuationが不当に高くなる傾向が出てくると思います。キャッシュリッチなメガベンチャーでも、大したサービスのバリューがなさそうなスタートアップをM&Aしてしまう傾向が出てきてもおかしくなさそうです。結局M&Aで買収した会社が大した価値にならず、キャッシュの無駄遣いに終わる可能性は高いです。

M&Aとまではいきませんが国内ではGREE、DeNA、CAのそれぞれの投資戦略が面白いと思っており比較してみると、GREEはアトランティスのような事業シナジーがある会社に入れている一方でアットコスメなどのレイターにも入れていてスタートアップにはあまり投資をしているようには見えません。

DeNAでは各Fundに分散投資をしておりFunds of Fundsでのキャピタルゲインを狙いつつ事業シナジーがありそうなところを探している。CAではJAICと共同Fundを作ったりイベントを開催してCAVを通して投資をしたりする。M&Aは社風的にやらないであろう。

ベンチャーファイナンスというのは上述している通りプライシングが極めて難しいのですが「バブルだからといって必要以上の価格でM&Aをしない。適正価格を見極める努力をする」姿勢がメガベンチャーに求められると思います。

これはメガベンチャーがスタートアップに投資をする時も同様で大したことがないものに予算があるからといって良さげなValuationをつけてはいけない。Series-Aで1億くらいならまだしも、Series-B,Cで変に膨らませたValuationを付けない。

まとめ:2012年内に時代の区切りがつく?

3年くらいの中期的なスパンで見ると2012年は大きなターニングポイントになりそうです。メガベンチャーは2012年をどう乗り切るかを考えスタートアップは2012年にモノにならなければしばらくチャンスはないくらいで考えておいた方が良いかもしれません。



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