「恋愛」「秘密」などの独自の投稿パターン:Pathの4段階のUXフェーズ

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以前、日本国内のユーザーがFacebookからPathへ徐々に移行するのではないか?と紹介する記事を書いたこともあり、ここ数ヶ月、ユーザーとしてPathを毎日使ってみました。そこで見えてきた「Pathならではの傾向」を本稿でご紹介します。

フェーズ1:Pathって人が少ないから本音を投稿できる♪

Facebookという巨大都市で仕事関係の投稿や「いいね!」ばかりしたり、そういう投稿でウォールが埋め尽くされたユーザーが、しがらみだらけの大都市に疲れ、本音を誰かにいえる居場所はないだろうかとPathという村へ移住してきている人が徐々に増えています。

気分的には平日はFacebookで仕事をして、Pathで休日のプライベートモードになる。2012年8月段階の日本ではFacebookから離れるということはリスクが高いので、一応所属はする。仕事で必要な時はまたFacebookへ帰っていくという感じでしょうか。(Facebookでプライベートを投稿する人もボリュームとしてはもちろんまだまだいます)

Pathを始めると、最初は身近な仲のいい人数人と繋がって、Facebookと違って会社の人とかあまり仲の良くない人の目を気にしないで本音の投稿ができる♪ことが逆に新鮮で、アットホームな居心地の良さを覚えます。

フェーズ2:ちょっと人数増えてきた?でも気にしない

これはPathに限らず、mixiやFacebookなどのSNSに全般的に言えることですが、特に日本人は「フレンド申請」を拒絶することに対する心理的なハードルが高いと周りを見ていて感じます。フレンドリクエストのアクセプト率が相当低い私とて、気を緩めたら「そのうち会うことありそうだし…」と思ってアクセプトしてしまいます。

実際に初対面でその後SNSで繋がって、名刺交換でのその場限りの繋がりよりよほど有益な繋がりに発展するケースもあり、一概にはいえません。しかし、「一度会っただけの、この人誰だっけ…」的な「フレンドではないフレンド」の繋がりが特に日本においては加速度的に伸びているのではないでしょうか。

電話帳に覚えのない人の番号があるのは日常的に特に不具合はないでしょうが、いくらFacebookの表示ロジックがあろうが、よく知らない人の投稿でウォールが埋め尽くされていることは少なくないはずです。 の辺の「繋がり数」の増加に比例して、人は本音を投稿しにくくなり、無難なことや自分のビジネスPR程度の発信しかしなくなっていくのではないでしょうか。私はユーザーとして周囲を見るとそんな感覚を持ちます。

Facebookは日本においては既に名刺交換したらリクエストが来る確率が半分くらいあってもおかしくなっそうな感覚値ですが、あまり仲良くない人とPathの話題を話すことに関してはセンシティブになった方が良いでしょう。「フレンド申請断れない病」がここでも発動し、「フレンドではないフレンド」の増加はPathでのユーザー体験を著しく劣化させます。

フェーズ3:「恋愛」「秘密」、Path独自の投稿パターン

「仲の良い人同士の繋がりの、本音の投稿」が売りになるはずであるPath。「本音の投稿とはどんな投稿なのか」ブレイクダウンします。

1:恋愛(おのろけ、女子会などの際どいネタ)
2:秘密(プレスリリース前のネタ、「やったぜ!」感)
3:大きな怒りや喜びなど感情の触れ幅の大きいネタ
4:起床やチェックインや写真(写真はFBよりプライベート感が出る)

まず1の「恋愛」。これがFacebookに登場してこない、かなりエグいネタです。Pathに恋愛ネタと比較して、Facebookの交際ステータスの更新など、なんとも甘ちょろいものです。最初は物珍しさに面白く閲覧するものの、日々のおのろけやエグい女子会ネタをデイリーで見続けるというのは場合によっては結構なストレスになります。おのろけプラットフォームのPathに辟易するユーザーは少なくないでしょう。

2の「秘密」。これは後々に正式リリースする内容であっても、決まった瞬間とかには「達成感=やったぜ!感」などがあり、誰かに話してしまいたくなるというもの。まあこれはわからんでもないです。恋愛も「秘密」に分類される場合はありますが、敢えて切り離しています。

3の「感情の触れ幅が大きいネタ」。ソーシャルメディア上での感情表現に抵抗がある人でもPathだと表現したくなることがあるようです。特に怒り系は顕著ですね…w 喜び系はソーシャルメディア上での計算し尽くされた喜び表現ではなく、ピュアな一面を垣間見ることもできるので、悪くないコンテンツです。

4の「起床」「チェックイン」は実はその究極なシンプルさから非常に使いやすいコンテンツです。特に起床はログのトラッキングには全く向いていませんが(Pathは基本的にはフローコンテンツ)起きたときの周囲の気温がわかるのは私は好きです。「写真」は1の恋愛系と紐づき、容易に恋人が登場してくるなかなかエグいコンテンツとなることもあります。

特に1〜3の要素をまとめると、オフラインでの会話内容がオンラインに持ち込まれている。という構造になりますね。twitterの主な「独り言」やFacebookの「リンク経済」、mixiの「日記」的な概念とはちょっと違う気がします。

フェーズ4:中途半端な仲の人の本音を毎日見ると疲弊?

Pathの上記の特性上、「顔を合わせる頻度が高い、もしくは高かった人」同士であれば、投稿や閲覧にさほどストレスを感じないかもしれません。(感じる人もいるにはいるでしょうが)しかし、これが「さほど仲の良くない人」だと感じるストレスはFacebook以上になるといえるでしょう。(プライベートすぎるネタをそんなに見たくないよと)

実際、上記のような理由でPathから離脱する人も出てきているようです。これは私自身、自分の体験からしてかなり納得感があります。上記のような離脱を引き起こす最大の失敗は「フレンドでない人のフレンド化」でこれはPath側のUIなどの誘導でなんとかなるものではなく、ユーザー側のスタンスに大きく左右される気がします。

利用してみての結論としては、「仲の良い人とだけ繋がるのが賢明ですよ」 が快適なUX実現に不可欠であるという、至極全うな、しかし実践は難しいことを主張するというのがオチです。上記のようなオフラインtoオンラインな楽しみ方をしたければPathはお勧めできるかもしれませんが、LINEのグループでいいだろという声も聞こえてくる昨今です。一応図解しておくとこういうポジショニングになるかと。

LINEはメールの代替である以上、レスを求めるものである性質が強い一方、Pathは誰かから反応があると嬉しいな。でも別になくてもいいやという独り言的な「クローズドなtwitter」の方がポジショニングとして近いといえそうです。冒頭では「Facebook⇒Path」としましたが、実は「twitter⇒Path」の方がユーザー行動的には相性は良いかもしれません。
「Pathが絶対に流行る」とは2012年8月時点でも断定できません。静観し続けますが、利用してみるとこんな感じだったというレポートです。

最近私は、「サービスの利用を各フェーズやレベル感に分けて、どういう心理でユーザーがその行動を選択するのか」という研究を個人的にしています。多くのサービス事業者はこの辺をざっくり認識はしているものの、細分化して施策を打つという点にまで考えが及んでいるスタートアップはさほど多くはないかもしれません。この辺はそのサイトのUXの改善スピードや改善内容を見ていれば、裏側でそういう思想があるかどうか判断できるものです。

この辺の設計も私がユーザーとして利用できるサービスであれば手掛けたいので興味がある方はご相談下さい。(初回は無料、その後は有料です)



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