マッチングサービス事業者は成約率を上げるためにも「ユーザーのオファー・リテラシー」を向上させる施策を

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常日頃思っていることを今日は記事にしてみます。ソーシャルメディアやCtoCサービスの発達により、「オフラインでの面識がない見知らぬ人」から何かしらの「オンライン発での提案(物品取引やお茶しましょうなど)」を受ける機会が飛躍的に増えました。

meetup軸でいえば2010年にtwitterでの「良質な」meet upが増え、2011年にはソーシャルランチ、2012年にはCoffeeMeetingやtsudoiが登場。物品取引軸でいえば、2010年のLivlis、2011年のWish ScopeやJmty、2012年のWhytelistなど。その他にもクラウドソーシングサービスなどもオンライン発の取り引きといえます。

ユーザーとして私が利用しているのは主にはmeet upサービスで、基本的には自分から申請することはなく、ロムるか申請待ちの場合が多いです。オファーを頂ける機会はそれなりにあるのですが、はっきりいって「オファーが魅力的ではないこと」がとても多いんですよね。これは私が高飛車な性格であることと無関係ではないとは思うのですが、それにしても心を惹かれない提案が多いものです。

私は良質なmeet upが盛んだった旧き良きtwitter時代の恩恵を受けているので、meet up自体は基本的には好きです。しかし、meet upサービスでの提案は直感的に刺さらないものが多いんですよね。基本的には全て目を通しています。そこで「良質なマッチング」が生まれる要因を探りたいと思います。結論としては、meet up系や物品取引系サービス事業者は「ユーザーのオファー・リテラシー」を高める施策を打つべきだと思います。

コンテクストの共有が円滑なmeet upの鍵

2010年頃はtwitterのmeet upの質が高く、私も10数名はtwitter経由で出会い、今も比較的お付き合いのある方が多数います。twitterでのmeet upは原則的にどちらかがどちらかをフォローしているか相互フォローの状態にあり、twitter上で何度かコミュニケーションをしているため、円滑なmeet upが実現しやすいです。(私の場合は定期的に自分のツイートをふぁぼってくる人をふぁぼったーから拾って一本釣りするケースもありましたがw)

twitter上でお互いの情報を少なからず共有していたり、お互いが興味を持っていたりするため、そういう人同士で誘い合うとmeet upが成立する確率は高いでしょう。これは「コンテクスト(=話せる同じ話題を持つ状態)が共有できている状態」ということができるでしょう。

「誰であるか」というファクト・インパクトも重要

twitterのようにコミュニケーション体験の有無が前提にあれば良いのですが、meet up系サービスの多くは、「いきなりお会いしましょう」となるわけで、そのハードルはちょと上がります。

オファーを受ける立場を前提として考えてみると、オファー相手やその所属先を何かしらの形で知っている場合はハードルが大きく下がるでしょう。FB連携での共通の知人の有無も重要ではありますが、自分がソーシャルや何かしらの記事で「見たことがあり、興味がある」人からのオファーであれば、潜在ニーズと合致し、ファクト・インパクトがあるため、「こんにちは、ランチしましょう」だけでも成立する可能性は高いでしょう。

よってmeet up系サービスでは、自分がよほどの美男美女でない限りは、ソーシャル上などでの知名度が有利に働くと見て間違いないかと。統計を見たわけではないので現実はわからないという前提ではありますが、ソーシャル上での知名度とオファーを受ける数や確率は相関関係が高いように思えます。

オファー・リテラシー=コンテクストが見えそうな提案

twitterでコミュニケーションを取ったことがある相手でもない、自分自身がソーシャル上でさほど知名度がない。そういう人がmeet upサービスでオファーする際に成約率を上げるために必要なのが「オファー・リテラシー」であると私は考えます。

オファー・リテラシーは具体的にいうと「相手にとって自分と提案相手とのコンテクストがありそうか否か=話してみたいと思わせるか否か」の技術だと思います。実際に私がオファーを受けた例をいくつか紹介します。(Bad Caseは実際にお会いしていません)

■Good Case1

「The Startupの○○に関する記事を読みました。○○のサービス運営に携わっている者なのですがぜひ情報交換を…(ry」

これは良いと思います。なぜこちらに興味があるのか理解できますし、私もそのサービスについて記事を書いているわけで、私としても興味があるネタです。

■Good Case 2

「Rettyでたまに見ていて気になっていました!」

これも共通の話題(コンテクスト)を最初に振ってきているので、承認率は上がりやすいです。自分が興味がある具体的なネタを振ってもらえると好感度は高いですし、会って話が盛り上がりそうな気がします。

■Bad Case 1

「こんにちは!よろしければお茶しましょう!」

これは巷の出会い系サービスも真っ青な、なんとも工夫のない提案です。本当にただの暇つぶしっぽい感じですよね。実際にこういうオファーもあったかと思います。

■Bad Case 2

「よろしければ私の事業についてご相談させていただきたく…」

なぜ興味を持てるかも分からない事業についていきなりアドバイスしなければならないのでしょうか?今はこういう取り組みをしているのでそちら経由ならokですが、meet up系に限らずいきなりFacebookでこういう話も来たりします。まずは人間関係を形成してからが義理ってものじゃないでしょうか。

Good Caseは時間を共に楽しめそうな「話題」が何かありそうです。Bad Caseは相手のニーズを一方的に押し付けられている感じがします。

成約率を上げるためにオファー・リテラシー教育を

私のような心の狭いユーザーは少ないのかもしれませんが(笑)、マッチングサービスにおいては成約率を上げることは重要です。マッチングサイトにおける最大のKPIは成約数になることが多いと思います。当然の話ではありますが成約数を構成する要素は下記。

メディア露出などのプロモーションで「オファー数」を増やす施策を打つことも重要なのですが、かなり労力がかかります。一方で「成約率」を上げる施策も同様に重要になりますが、ここに本気で取り組んだ方がROIは高いと思います。「なぜ成約しないのか」「成約しない要因を解決する」これはマッチング系サービスにおける最大の運用の肝であり、ここのPDCAをいかに高速で回して成約率を高めるというのが運用における最重要事項ではないでしょうか。

私のような心の狭い(オファー承認の心理的ハードルが高い)でもmeet up自体には興味あるし歓迎というユーザーも入れば、リテラシーの低いオファーばかりで辟易としている美女もいるでしょう(ルックスだけが目当ての肉食男子からの工夫のないオファーによる、劣悪なユーザー体験)
悪しきユーザー体験はサービスへの悪印象に繋がり、リピート率の低減は避けられません。悪しきユーザー体験から良いユーザー体験に転換できるような、「ユーザーの教育」がサービス内にあると良いなと思います。

その一部がチュートリアルページだったり、ブログ記事による「ユーザー体験談」だったり、「投稿フォームの工夫」だったりするのでしょう。「教育」というと偉そうに聞こえてしまいますが、ユーザーは何かしらの便益を得たいからそのサービスを利用します。「良いユーザー体験の手助け」といえるでしょうか。

ユーザー体験の事例をまとめて「成約率の高いオファーの仕方」などがわかるコンテンツを用意したり、UXサイクルに組み込んでしまうなどすると良いかと。

「オファー・リテラシー」ネタはUmeki Salonでも少しだけ議論し、「地道に数を打って学ぶしかない」という意見もある一方で、「ある程度の仕組み化ができれば、最低限のリテラシーは上がり、サービス事業者側からの仕掛けは有効である」というのが私の意見です。

こんなことを自分で言ってしまい、だいぶハードルを上げてしまいましたが、CoffeeMeetingで何件かmeet up募集中です。リテラシーの高いご提案、お待ちしております(誰からも提案が来なくなりそうですがw、Good Caseを参考にして頂けますと幸いです) 知り合いの場合はとてもハードルが低いので、初対面に限らずランチなどのお誘いお待ちしております。

マッチングサービスの事業者の皆さんは、この辺はどういう施策を打たれているでしょうか?ぜひご意見をお聞かせ下さい。



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