企業HP起点のPRとの比較にみる記事コンテンツマーケの特長とそのつくりかた

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「コンテンツマーケティング的なものに興味がある」というお問い合わせを最近、多数頂きます。「コンテンツマーケティング的なもの」という表現が表す通り、明確な定義が未だない分野であるため、明確なオーダーをしにくいという背景があるかと思います。

サービスが生み出すコンテンツを元に認知や理解を促進し、サービスの利用者を増やすことが広義のコンテンツマーケと定義できると思います。今回はより具体的に「サービスに関連する記事コンテンツを生み出し、サービスの認知や理解を促進する」という狭義のコンテンツマーケ(厳密には「記事」コンテンツマーケ)に関する私の考え方をご紹介します。

「企業HP起点のPR」と「記事コンテンツマーケ」

記事コンテンツマーケは「企業HP起点のPR」とセットで語るとその役割の違いが明確に浮き彫りになるため、わかりやすいでしょう。

企業のPR活動はHPに出すようなプレスリリースを起点にした活動が多い。ただ単に企業HP上だけで告知しても「既にその企業を知っている人」がたまたまHPを見に来た際に目にとめる程度であるため、それだけではチャネルとして弱い。注目を集めたいリリースを打つ際には「プレスリリース配信代行会社」に依頼したり、「共同記者会見」を開くこともあるでしょう。

こういう構造ですが、ヤフトピなどに載った際には一気にトラフィックが集まり「瞬間風速的な認知」は上がるでしょう。企業HP起点のPRは「自社HPを定期的に見に来る人」が限られているため「他社のメディアプラットフォームにする依存」トラフィック構造にあり、ハイリスクな戦略であると私は考えています。ヤフトピを狙うPR施策を練る意義はありますが、アンコントローラブルなため一点張りすることはお勧めできません。

これまでの「企業HP起点のPR」の話、そしてこれからお話しする「記事コンテンツマーケ」の違いを整理すると上記の図となります。

他のメディアに依存し、メディア露出で認知の最大化を図る「企業HP起点のPR」に対し、「記事コンテンツマーケ」では自社ブログメディアをプラットフォーム化して「自社HPよりも頻繁に来訪したくなる」ようなコンテンツを提供し続けることがポイントです。記事コンテンツマーケではどういう記事ネタを提供すれば良いのか次の項で掘り下げます。

「自社の資産」×「役立つ情報」に特化した切り口

読まれる記事を書くにあたっては「記事構成の質」も重要ですが、それ以上に「ネタとなる切り口が面白いか、役立つか否か」が最も重要です。

この「自社の資産や事業ドメイン」と「ユーザーが読んで役立つ、読みたいと思うような情報」が掛け合わさったところが狙うべきネタといえるでしょう。自社サービスへのリターンを狙うので、ユーザーの役に立つかもしれないが、自社サービスの役に全く立たないようなネタはあまり狙わなくていいと思います。たまにはいいかもしれませんが。

ユーザーにとって役に立つ情報とはどういう情報でしょうか?色んな企業やサービスが出すブログ記事を見たり話を聞くと、その多くが「自社サービスの宣伝」色が強い、もしくはその香りがします。昨今のユーザーは「広告タイアップ記事か否か」を嗅ぎ分ける嗅覚の感度がかなり上がっており、そういう記事はソーシャルでシェアされにくい傾向にあると私は実感値を持っています。

上記のループを何度も繰り返すことで、ブログメディアとしてのプラットフォームの力が徐々に強くなっていきます。定期的に訪れるブログメディアが育つことで、自社サービスの定期的な認知の機会や「役に立つコンテンツを提供している」という好感度によるエンゲージメント向上、コンテンツを読むことで業界やサービスの理解促進に役立ち、サービス利用へのCVR向上に寄与できるでしょう。

記事ネタの切り口の事例とシェアされやすいパターン

どういう切り口のネタならサービスのターゲット・ユーザーの役に立てるのか?ここを徹底的に考える必要があります。例をあげると、アンケートを元にした競合商品との定量分析の比較であったり、その業界のトレンドセッターであるサービスの分析やホットな話題、業界で注目されている人のインタビューなど、色々パターンは見えるでしょう。

このコンテンツの切り口を考え出すのは相当センスが必要であり、外部のライターに丸投げして、良い切り口のネタが上がってくることを期待しない方が良いでしょう。編集部機能を持ち、編集会議などでネタのブレストをしぶとくし続けることが一番の近道ではないかと思います。

ちなみに一般的にシェアされやすいパターンはこういうパターンでしょう。私自身のシェアされた記事を分析するとこのパターンが多いです。炎上は正直、避けたいですがw 数字が取れたときは数字に一喜一憂せず、数字が取れた要因をトラッキングしてPDCAを回したいですね。

秀逸事例:ソーシャルリクルーティングの世界

記事コンテンツマーケの秀逸な事例として以前より注目しているのが「ソーシャルリクルーティングの世界」です。ソーシャルリクルーティングというバズワードに対し、国内外のサービス事例紹介や、インタビューのみならず、ソーシャルリクルーティング業界のトレンドセッターであるLinkedinに関しては単体でカテゴリー化し注力されています。Linkedinの記事に関しては、100like以上されている記事が多いようです。

ソーシャルリクルーティングを検討したい企業の人事やソーシャルリクルーティング業界のプレイヤーにとって明らかに役立つ内容です。それだけではなくLinkedinの動向はIT業界の人は気になるでしょうし、カヤックネタなどエンタメ性もあり、コンテンツのレベルは相当高いといえます。
ニッチではありますが確実なニーズのあるターゲティングをし、その周辺分野でもトラフィックを稼げるという理想的な形態といえるでしょう。

メディア掲載履歴を見るとIn the looopやBLOGOSにも寄稿しているようです。ソーシャルリクルーティングの世界は記事コンテンツマーケの導入を考える方にとっては分析対象として有用です。ここで私は披露しませんが、カテゴリーやバズったコンテンツパターンなどを徹底的に分析するとパターンが見えてくるでしょう。

クラウドソーシング業界やフリーランスに役立つメディア

上記の考えを元に、お手伝いさせて頂いているクラウドワークス様にて「クラウドワークスタイル」というブログメディアを立ち上げました。

クラウドワークスはクラウドソーシングサイトですので、クラウドソーシング業界を啓蒙するようなトピックスやターゲットユーザーとなるフリーランスの方々向けのコンテンツを発信していく予定です。初回はイケダハヤトさんのインタビュー記事にて、フリーランスとして働くきっかけやそのスタイルに対する考え方をご紹介しています。

クラウドワークスタイルに関しては切り口の発案から執筆まで私が一気通貫で手掛ける予定です。記事コンテンツマーケの一例として、ご覧頂けると幸いです。ターゲットに役立てる記事を提供できるよう努めます。

今回は記事コンテンツマーケのベースとなる私なりの考え方と具体例を示しましたが、遠くない未来にSEOやリスティングとの比較の観点でのコンテンツマーケの記事も出したいと思います。

参照リンク

1. ソーシャルリクルーティングの世界
2. ソーシャルリクルーティングの世界:Linkedinカテゴリー
3. ソーシャルリクルーティングの世界:カヤックの記事
4. ソーシャルリクルーティングの世界:メディア履歴
5. クラウドワークスタイル
6. クラウドワークスタイル:イケダハヤト氏インタビュー 



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