人々を『ほっこり』させる永続的なコンセプトを持つ「giftee」について考えてみた

Pocket

既にわりと知名度が高いようですが、私もgifteeに注目しています。
gifteeはページにあるように日頃の「小さなありがとう」を簡単にギフトにして送れるようです。発想の起点はtwitterなどでのギフトシーンのトラフィック数だとか。「ありがとうの言葉と一緒に送られたコーヒーで一息つく」そんなシーンを提供する。このシンプルで温かいコンセプトがウケているのでしょう。

β版で商品数もまだ18しかないのにFBのファン数は既に1,000人超えです。客観的に見たらバブル状態ですがそれだけこのコンセプトに魅せられる人が多く、大化けする可能性を秘めた市場であるといえそうです。
サービスを利用するシチュエーションが明確であり、かつ人の心を捉えているというマーケティング的にこれほど完璧なストーリー性のあるコンセプトは稀ではないか。と思うくらい絶賛したいコンセプトなのです。

コンセプトはばっちりだ。商品数18にしてFBのファンは1,000人以上。
コンセプト・プロダクトが良けりゃマーケティングは不要である。それを認めざるを得ない数値である。コンセプトの賛辞はここまでとし、実際に事業を伸ばすにあたるポイントを考えましょう。

マイクロギフト市場のポテンシャル

▽利用シチュエーション

先述のTCの記事にもあったとおり、主な用途としては誕生日などのお祝い事の際の1日のツイート数が20万あり、その中でこういうマイクロギフトを入れたら面白いのでは。という発想。他にも誕生日以外にお祝い事はあるし、何気ない日に突然「お疲れ様プレゼント」の潜在市場もあると思う。従来のギフトは大きいカタログや膨大な情報量のサイトから選ばなければならず単価も3,000-5,000円が平均だったと思うから「気軽に」誰かにギフトを贈ろう。と実際に行動に移しにくかった背景があったと思う。
この「マイクロ性」と「お手軽感」は事業が伸びる肝であると思う。

▽平均単価・売上見込み

現ラインナップから推察するに単価は500-1,000円。平均700円くらい。
1日20万ツイートの0.1%シェアを取れたとして200ツイート(購入)。
1日の売上:21万円。1ヶ月:630万円。1年:約8,000万円。
0.1%シェアにいくには次項の商品ラインナップの拡大と更なる認知向上が
必要なのは言うまでもありませんが、上記の概算は1年目で無理な数字ではないのではないでしょうか。収益的には出稿主は広告扱いでしょうから
定価の10-20%くらいが粗利としてgifteeにバックされるのではないか。

商品ラインナップの拡大

平均単価が低いのが売上的にはネックですが、事業上では競争優位性になっています。今のところは飲食店でのドリンクやランチセットくらいのラインナップでこのセグメントでの取扱高を増やしていくことと、お土産的なもので単価1,000円以下のものを取り扱っていくといいかと。シチュエーション的に「お土産の引換券をもらって自分で取りに行く」と考えると
ひょっとするとコンセプトマッチしないかもしれないが。飲食を中心としたお土産的なものが+αになっていくイメージです。

アライアンス・Exitスキーム

スタートアップですので当然資金も販売網も乏しいと思います。大型資金調達で自社で営業人員を増やすか、どこかとアライアンス組んでアップセルするか。セグメントは飲食店の中でも特にカフェ系だと思うので、短絡的な発想ですがやはりリクルートの商品に組み込んでもらう代理店契約を結ぶかリクルートに売却。という形が上手く行きそうです。

各所の情報をプラットフォーム的に持っているリクルートはやっぱ強いですね。と思う。ただしリクルートにスタートアップを買収するという発想はあまりなさそうな気がします。そういう事例をあまり見かけない。ポンパレの例もあるので参入してくる可能性も大いにあるでしょう。

Grouponより協力なマーケティングツールに成り得る

最後にチケットECの観点でGrouponとの比較しておきます。Grouponは比較的高額なものを共同購入で安くするというインセンティブでバズを発生させました。魅力は安さとソーシャルベースの「ネタの共有感」がメインでしょうか。

出稿する企業側としては一時的な認知向上にはなりますが、利益構造的には広告費としても高く付きすぎることに出稿主が気づいてきたのか、それとも度重なる不祥事によって出稿意欲が減退したのか2011年2月は今までの売上の伸びから一気に反落したという記事を見かけました。正直、ここまで拡大したGrouponは出稿主にかなりの無理を強いているモデルであり
Grouponバブルは早かれ遅かれ今年中には破綻するんじゃないか。と個人的に思っています。

一方のgifteeですがGrouponが参入できない価格帯といえると思います。元々単価が安い物を値下げしてまで売りたいインセンティブは大手企業が広告費と相殺して売り出すくらいしか考えられず、飲食店単体には無理な業です。安さでバズを発生させたGrouponに対し、「案件成立」のインセンティブはないためGrouponほどのバズのトラッフィクはないかもしれませんが、CtoCのgifteeでは相対でのやりとりであり(DMで行われる場合もあるだろうが)エンゲージメントはGrouponよりずっと高いです。
認知が広がるにはTL上で誰かが誰かにgifteeを送っている場面を見て
「いかにTLでロムっている人たちを『ほっこりさせるか』」が肝
になると思います。

このストーリーに基づいた取引はGrouponのような一瞬の爆発力はありませんが、取引者間のエンゲージメントを強め、見ている観客たちをほっこりさせ、お店の売上にもささやかに貢献するというモデルは息の長いロングテール的なサービスになると思います。出稿主からはGrouponで1週間の売上がいつもの3倍になった!というよりも、なんか毎日giftee経由の売上が5%くらいあるなあ。こういう継続可能なモデルの方が嬉しいのは言うまでもありません。これぞユーザーと出稿主がwin-winになるモデルだと思います。無理せず長期的にというのが大事。

長くなりましたが分析してみるとTheStartupで取り上げたスタートアップの中で、一番良いサービスなのではないかなと思いました。今後も注目度は高いでしょうし、類似サービスも出てくるかもしれません。単価が低いマイクロ市場に参入できないGrouponのようなとこもあるでしょうが。



Pocket

コメントを投稿する

「人々を『ほっこり』させる永続的なコンセプトを持つ「giftee」について考えてみた」に対してのコメントをどうぞ!