今更なのですが、インベスターZという投資マンガが面白くて、3連休中ひたすら読み進めていました。
面白ければ買い足していこうと思いましたが、これはもう最初1,2巻読んだだけで一気にまとめ買いしました。
初めての方はとりあえず一冊。梅木を信じるというやつは、まとめ買いがオススメです。
投資と経営って密接な分野ですので、投資家のみなら本誌読者である起業家の皆さんには全力でオススメですね。先日のフェイスブックの本とかより、よほど気軽に読めてかつタメになりますからね。確実に、フェイスブックの本よりオススメです。
漫画なので、いつものように気になった箇所にマーキングしてソーシャルリーディングできない点は不便なのですが、自分なりにあらすじと刺さった点をまとめておきます。
あらすじとTheStartup読者に刺さりそうな点
道塾学園という北海道の中高一貫私立男子高校の成績学年1位だけ6人集められた投資部が存在。投資部は130年の歴史の中を経て現在3,000億円運用しており、運用益で学園の経営を賄っている。
主人公の中学1年である財前孝史が先輩やライバルなどから、様々な投資手法や投資哲学を学んでいく。
TheStartup読者に刺さりそうな点としては、ユーグレナ、ホリエモン、DMM亀山氏、スタートトゥデイ前澤氏など、実社会の人物がたまに登場してきて、主人公に示唆を与えていくところが、生々しさがあり、ツボにハマりそう。バフェットなども登場するが、日本のベンチャー界の人間が出てきたり、ベンチャー投資についてそれなりのページを割かれている点も、興味深い。
個人的に刺さった話は「個人商店の3S」
投資は個人でやれ。
これは財前が「投資に興味がある生徒を集めて、投資部を拡大した方が儲かるのではないか?」という問いに対しての、投資部キャプテンである神代の言葉です。合議制で話し合っても、妥協の産物でロクな判断にならないと。
これはVCを見ていてもそう感じます。とある独立系VCは、複数人でパートナーシップを取っているものの、各パートナーに予算が割り当てられており、その中で個人で投資判断をして決めているという話を聞いたことがあります。これは経験上すごく納得感があり、「投資委員会」などというもの自体、責任のなすり付け合いであり、個人の判断でスピーディーにやれた方が良いよなと思います。
最近、エンジェル投資家が増えていますが、仕組み的に投資(ないしは投資判断)というのは元来個人でやるべきものであり、個人の方が成果が出やすそうですよね。ジャフコの存在意義が、ますます問われていく時代です。
個人商店はスリム、シンプル、スローの3Sが大事。
これ、私自身が個人商店なのでとても刺さりました。とある女子高生の母親が、知人から喫茶店を引き継いで経営にあたる際に「品数を増やして売上増加を見込んではどうか?」という問いに対する、喫茶店店主の答えです。
スタートアップ業界に身を置いてると「スケールしないと意味ないっす」圧力を各方面から感じてしまい、正直私のような零細な身分は居心地が悪かったりします。実際に、若い経営者とかがスケールして規模の大きなIPOやM&Aを決めていく姿を見ると、すごいなと思いますし、軽い嫉妬心も覚えます。
この話の事例としては、この喫茶店はメニューが相当少なく、珈琲しか扱っていない。パスタとかの軽食は扱っていないんですね。たしかに軽食を出せば売上が上がるかもしれない。しかし、時間と肉体的なコストもかかるので利益率が下がってしまう。
零細企業経営者はスケールと利益率の相反関係を気にする傾向にある気がしていて、私は実際気にしていますし、TheStartupの粗利率は95%を割ったことは一度もありません。
個人商店の原理原則として、固定費を低くして(スリム)、利益率を落とさないように余計なことはしない(シンプル)、急成長を目指さずに安定成長を目指す(スロー)。独立時から気をつけていたことではあるのですが、最近見失いがちだった考えなので、目が覚めました。
この例に付随する話で「誰に、どんな商品を、どういうサイクルで提供するか」という「マーケット管理」が個人商店には大事という話があり、喫茶店近辺はタワーマンションが多く、その中でも高齢者比率が高い。高齢者の何割かが月に1度でも利用してくれる喫茶店であれば、十分ビジネスが成立する。という算段だったようです。
この「マーケット管理」ですが、案外規模が大きくなると管理の精度が下がってきそう。スタートアップ流にいうと「プロダクトマーケットフィット」とも言えるでしょう。スモールスタートで、ここの管理をしっかりするのが大事な気がします。
天井3日、底100日
株価の推移の法則の話で。同様に「コツコツドカン」というのもあり、言い換えると急な上げ相場も下げ相場も長持ちはしないという話でしょうか。すごく基礎的な話ではあるものの「天井3日、底100日」とすごくシンプルに言われると、腑に落ちます。
ざっと思い出せる程度だとそれくらいですが、マンガなだけあってかなりわかりやすい説明が多く、栽培マンにこそぜひ読んでほしいマンガですね。もちろん、栽培マンじゃない方でも、忘れかけていた考え方とか、そういう解釈もあるのねとか、エンタメとしてだけではなく、経営投資本としても秀逸だと思います。
いつも堅苦しい本ばかり読んでないで、たまにはこういう本もいいですよ。しかもきちんと勉強になる。マンガというのは非常に学習効率が高いコンテンツだなと、改めて感じました。
まだ14巻までしか読んでいませんが、今18巻まで出ているらしいですね。これほどKindleでマンガを買い漁ったのは、「島耕作」以来でしたw