EVのテラモーターズの成長の鍵

Pocket

テラモーターズが昨日、増資を発表しましたね。
電動バイクのテラモーターズ、みずほキャピタル株式会社他より総額1億700万円の第三者割当増資を完了

 

テラモーターズは日本には珍しいクリーンテック系ベンチャーといえるでしょうか。
EVバイクらしいです。

EV系といえば有名なのは米国のテスラモーターズ。
日本では最近破産申請したゼロスポーツなどが有名でしょうか。
*破産申請したので話題になった。という方が正しいかもしれません。

ただでさえ製造業なので資金繰りが難しいのに
スタートアップで製造業ともなると本当に資金繰りが難しく
ちょっとディールがブレイクするとキャッシュフローで死ぬ。
みたいなことはゼロスポーツ社の郵便車導入で周知されましたね。

テラモーターズは名前はTL上などでよく聞く、という方も多いかもしれません。
ちょっと詳しく見てみましょう。

■会社概要

設立:2010年4月⇒まだ1年経ってないんですね!
社員:10名くらい。とお聞きしています。

■事業概要

EVバイク事業。
バイクって国内市場衰退しているはずだし
いくらクリーンとはいえ、そんなに国内市場は見込めないだろ。
と思っていましたが最初から国内市場はあまり狙ってないそうです。
狙いはまずは中国や東南アジア。

中国はよく天安門ら辺が自転車で渋滞になっている図を見かけますが
EVが最近自転車にとって代わってきているようです。
安価なEVであれば自転車とバイクの中間くらいの価格で
クリーンなのでイメージも良いのでしょう。
東南アジアでも自転車orバイク人口はそれなりに多いようです。

当然そうした市場、中国市場などは中国生産のEVのシェアが高いらしいですが
中国製品はご多分にもれず質が悪くすぐ壊れたりするそうです。
多くの電化製品と同様、日本ブランドのバリューはありそうですね。
この市場に日本勢を代表して殴り込みをかけよう。という考え方でしょうか。

■大企業に対する競争優位性はどこか

EVベンチャー、と考えたときにすぐ浮かぶのが
トヨタとかホンダに参入されたら終了だろとか思いますが
既存事業を運営する大企業には大企業ならではのジレンマがあるようです。
ホンダの場合は既存のバイク事業からEVバイクに乗り換える際に
多くの下請けを変更せざるを得なかったりする。
そのスイッチングコストのハードルが高く
EVバイク市場も一気に手を出すにはさほど?大きい市場でもないため
スイッチングコストを乗り越えてまで参入するものではない
という判断をしがちであるということ。

これは今回のケースに限らず
スタートアップが戦う戦略の定石とも言えるかもしれません。
競合の弱みやできないとこを突く、というもの。

■EVバイク普及の鍵は何か?

簡単にいうと、デザインとマーケティング。
完全に僕の独断と偏見ですが。

デザイン性の高いプロダクトと
「そのデザイン性の高い EVバイクに乗っている俺、クールじゃね?」
というブランドイメージを普及させることの二点だと思います。

個人的にはEVをクリーンだというイメージだけでは選ばない。
多少の価格メリットもあるのかもしれないけれど
バイクの基本的な便益となるものは
「移動手段」と「所有心を満たす」という二点に集約されると思う。
私にはまったくない感覚なのだが
車とかだとベンツに乗っている俺、カッコイイ。
みたいなセルフブランディングの一環としての所有物である。

今の時代でEVを選ぶという人は
エコにも配慮できる俺、クリーンだろ?
というセルフブランディングをしたい人であろう。
今後EVというものを普及させるにあたり
「クリーンさ」だけが売りでは厳しいだろう。
エコバックのように安いものじゃないんだから。

そこで重要なのがプロダクトデザインとマーケティングだと私は思うのです。
いくら性能が良くて安いものを作っても
EVかー。わざわざ買うまでもないよなー。と思われる。

テラモーターズにはなんとなくデザイン力があると直感的に思うわけです。
サイトのインターフェースとか見ると。

http://www.terramotors.co.jp/
http://www.facebook.com/TerraMotors.jp

あとはスマートフォンとの連携なども視野に入れているそうです。
スマートフォンが鍵代わりになるとかそういうことでしょうか?
こういう若干意味がわからない先進的な発想も「イイネ」したくなります。

テラモーターズが最も参考にすべき企業はアップルだと思います。
iPodやiPhoneが出た時とテラのEVは似ている気がします。
まだ利用用途がよくわからんが「なんかカッコイイ」から使ってみようと。
アーリーアダプターが使いだせば
そのうち浸透率が上がります。
EVは耐久財にはなりますが「移動手段」として
特に東南アジアでは車と自転車というちょうどいい間のポジションにいるため
バイク市場自体のシェアも元々大きい点と
シェア自体を伸ばせるポテンシャルもある。
スマートフォンの登場でPCのシェアが若干食われた、みたいなイメージ。

まずはEVの中でのベストスペックを備えた上でのデザイン、が起点。
その上でのマーケティング戦略。

マーケティング担当者は結構やり手っぽいので
だいぶ彼の力でベンチャーに興味がある界隈での認知度は高まっているように思えます。
私も本職はブランドマネージャーなので
彼から学べる点は大いにありそうです。

製造業なのでコストの低い工場を新設したり
BtoBでの交渉でゼロスポーツのように納品数を確保したりするのも大事でしょうが
BtoCでマーケットシェアを伸ばすには
デザイン起点のプロダクトを作っただけでは足りず
巧みなマーケティング戦略が必要になります。

マーケティングとは響きは華やかに聞こえるものですが
案外地道なものです。私も実務やってますからね。
突拍子もない企画を実行する一方で泥臭い作業もこなす。
それが特にスタートアップのマーケターに求められる資質かと思います。
彼はその点、かなりの資質があると感じるので
今後どういうマーケティング施策を打ち出していくのか
注意深くウォッチしていこうかと思います。
*敢えてこの記事で施策の提示はしないでおきます。

ということでテラモーターズですが
私としてはプラダクトのスペックというよりはデザイン
そしてマーケティングに注目しています。

日本では業種的には異色のスタートアップなので
皆さんも注目してみると面白いと思います。
とりあえず「イイネ」しておきましょうか。



Pocket

コメントを投稿する

「EVのテラモーターズの成長の鍵」に対してのコメントをどうぞ!