B Dash Camp 2017 Springのセッションレポート。ピッチアリーナ・ファイナルラウンドです。20社中6社が進出。
☆企業名/サービス名:受賞
インフォステラ/Stellar Station
ムーヤン/マンガルー
Fieldsolution(海外サービスのため本稿での説明は割愛)
CB Cloud/軽タウン
WAmazing:優勝
ポケットチェンジ/外貨交換:スペシャルアワード(準優勝?)☆審査員(敬称略)
朝倉祐介 Tokyo Founders Fund
青柳直樹
木村新司 AnyPay
紺野俊介 アイレップ
倉林陽 ドレイパー・ネクサス・ベンチャーズ
宮田拓弥 Scrum Ventures
優勝はWAmazingでした。下記写真は同社加藤CEO。
個人的にはWAmazingと軽TOWNが一つ抜けていた印象を持ちました。(表彰発表前の主観です)
インフォステラ/Stellar Station:宇宙通信シェアリング
宇宙通信のグローバルでのシェアリングサービス。(宇宙事業で日本も海外もないと思いますが)
Tech Crunch記事によると2016年10月に6,000万円の資金調達を実施済み。詳しくはそちらをご覧いただいた方が良いかと思います。
現状、圧倒的な数のアンテナネットワークが必要とされているとのことで、シェアリングすれば大幅なコストダウンに繋がる。
ざっくりいうと宇宙版ソラコムといったところでしょうか。IoTプラットフォーム的な。宇宙系の事業の資金調達は最近ちらほら見かけますが、市場の成熟感としては2-3年後ではなく5-10年後の回収を見込むモデルだろうか。
日本の衛生は1日30分程度しか稼働しておらず、米国でも稼働率は高くて50%とのこと。となると、シェアリングの余地はまだまだ大きい。海外に類似サービスはまだないとのこと。
宇宙系に関しては私無知すぎるので、下手なコメントは控えておこうと思います…
ムーヤン/マンガルー:マンガ版ピクスタ
簡単にいうと、マンガルーはマンガの絵をネットで自由に使えるように使えるサービス。コンセプトは「全ての書く人のためのサービス」とのこと。
マンガルーにログインすると、埋め込みコードを使用すると、その画像が使える。マウスオーバーすると、Amazonなどの書籍ページへ飛び、マンガのプロモーションになる。出版社からデータを提供してもらっている。
トラクションは2017/2/28にローンチし、1週間で100万コマ使用されており、現状配信できている作品は70作品程度。倉林氏からの質疑でも指摘があったが、カバレッジを増やしていく難易度は高いのかもしれない。
ビジネスモデルは、書籍販売でのアフィリエイト、マンガのコマを使いたいユーザーへの課金、メディアを立ち上げる、などなど。
DeNA問題で著作権周りの話がうるさくなってきている文脈の中で、著作権を上手く管理していくサービスという点は、時流に乗っていると感じる。
私自身、栽培マンの綺麗な画像は、課金してでも利用したい。メディア側から見たポジショニングは、マンガ画像版シャッターストック(もしくはピクスタ)という印象。
マンガビジネスはスタートアップではNagisaが好調だという話をB Dash Camp中に耳にした。LINEマンガなど大手も好調であり、マンガ市場というのは確実に一定の規模がある。
しかし、マンガルーのマンガのアフィリエイトと画像課金は単価も低くロングテール的であり、課金してでも使いたいプレイヤーの規模はそこまでスケーラブルではないようにも思えた。
CB Cloud/軽タウン:物流版Uber
非常に地味な領域ですが、個人の荷主とフリーランスのドライバーのマッチングアプリで、C2Bのみではなく、B2Bもやっている。
トラック運送市場は、ヤマトや佐川の大手が2.6兆円で他の中小零細企業で14.3兆円という市場規模。案外大手にシェアが集中しているわけではない。
トラック運送市場の現状のマッチングは中間業者も多くかなり非効率なようで、軽タウンのようなニッチな小口配送を攻めれば、それなりのボリュームも獲得できそう。直近の売上は2.4億円とのこと。収益モデルは手数料10-15%とのこと。
私はUberEatsのヘビーユーザーで最近は月20回も使っています。個人的にはこの軽TOWNのモデルは、かなり手堅く売上が上がるように思えました。わかりやすいですし、シェアリングエコノミー銘柄として、評価されやすい時期でもあると思います。資金調達は楽勝でしょう。
軽TOWNを提供するCB CloudはKDDI∞Laboの10期卒業で最優秀賞を受賞。2016年9月に6,000万円を調達済みとのこと。
WAmazing:手の中の旅行エージェント
WAmazingは成田空港で外国人向けのSIMカード提供場所を設置。SIMカード利用5日間無料という施策で、ユーザー獲得を進める。この無料というのが効き、バイラルで香港などでDLが爆発的に伸びたという。
SIMカードを導入を起点に、旅行者に多様な情報をレコメンドできる。外国人向けにマーケティングしたい企業は相当数あるので、その入り口を上手く抑え、広告モデルでBからマネタイズし、Cに向けて日本滞在中に楽しめる情報を提供するという、非常にわかりやすく綺麗なWin-Winが構築できているモデルだと感じました。同社は「手の中の旅行エージェント」を標榜している。
SIMカードを入り口としているが、サービスの離陸後は脱SIMできるか、本質的な価値を提供できるかがポイントであると、加藤CEOは語った。
ちなみにICCカンファレンスで優勝しており、私もサービスの名前だけは存じていましたが、市場課題に対して解決方法が非常に具体的、かつインバウンド市場は評価されやすい時期。そしてチームがリクルート出身者で固められていることからも、手堅いグロースが見込めそうで、今回の優勝候補筆頭だろうなと感じていました。加藤CEOはじゃらん出身なんですね。
すでに資本準備金含め1.8億と会社HPにありますが、大型調達を今後実施していくことは想像に難くない。インバウンド銘柄って正直国内スタートアップは99%イマイチなプレイヤーしかいなかったのですが、いよいよインバウンド市場ど真ん中で真っ当なサービスがでてきたなという印象です。OTAサービスは本質的なインバウンド銘柄だとは私は思っていません。
2017年スタートアップ業界の台風の目になることは間違いなさそうです。人気殺到で、余裕で二桁億調達ですね。
私個人の見解での懸念としては、リクルートは本質的には大抵B向けサービスなので、C向けの利便性がおざなりになる傾向にあります。リクルート出身者チームであるがゆえに、その罠にハマってしまうと、案外グロースしないという可能性もあると感じます。Cを重視したアプリのディティールを詰め切れる化が鍵ではないかなと。
ポケットチェンジ:外貨交換
空港や駅などに設置する外貨をその場で電子マネーに交換できる端末。
解決する課題がわかりやすく、便利なサービスなのですが、キャッシュレスに向かっていく時代の中で、外貨交換という市場自体が縮小していくと感じます。ここに関しては朝倉氏からも指摘がありました。
マーケット規模の算出では日本では3,600億、グローバルでは12兆円の外貨交換市場があるとのこと。マネタイズはBからの固定費と販促費とのこと。
2017年に設置台数30台、月間売上1億、2020年目標が年間売上200億営業利益15億を目指している。マネタイズパターンを見ると、さほどスケーラブルとは思えませんでした。
以上です。
ピッチアリーナ、個人的には今回のように日本企業比率が高い方が、ありがたいですねw