弱みを認識できているかが、優秀さの一つの条件

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真面目に面接するときに必ず聞くようにしているのが「あなたの弱みはなんですか?」という質問。(聞くまでもなく、落とそうと思ったときはわざわざ聞かない質問です)

実は、この質問に適切に回答できる人はあまり多くありません。

私の最近の「面接」という類のものは、東カレで寄稿者を採用する「面接」であったり、投資仲介の際の「投資検討面談」であったりします。

まず、この質問をすると大抵の人が、一瞬戸惑います。スムーズに「ええ、私の弱みはですね〜」と切り返してくる方は、私の経験上ほとんどいませんでした。

弱みだらけで強みが全くない人は話にならないのですが、自分の弱みを認識できていないのも考えものかなと思います。人間、誰しもが万能ではありません。「弱みなんて自分にはない」と思っている時点で、それ自体が弱みです。しかしながら、弱みを自己申告できる人は実際にはほとんどおらず、仮に認識していても言いたがらない人が多い。

特に投資検討時に、自社のリスクを説明できず、CEOが自社を過剰評価していることは少なくありません。投資検討にしても、人物採用にしても、投資後や採用後はともに働く仲間になるわけですから、その人たちの強みと弱みをあらかじめ理解したいというのが、検討する側の心理です。そこで、強がってしまう人と、正直に打ち明ける人、どちらを信用できるでしょうか?

おそらくは、弱みを言うことで、相手に魅力的に映らなくなってしまう可能性があると考えている人が多いのではないかと思います。しかし、弱みと強みは表裏一体ということもありますし、その弱みは相手にとっては強みに映ることもゼロではありません。もしくは、その弱みであればこちらで補完できるとか、そこが弱みであればマネジメントの際に気をつけようとか、投資側や採用側が「その後」のことを見据えた上でシミュレーションするのに、必要な項目だと思います。

一番理想的なのは、「こういう点が弱みだと思っていますが、改善の傾向が見られる、もしくは改善したいと思う」という話か、「こういう点が弱みなので、弱みを補完できるメンバーが他にいる」という回答で、ベンチャー投資においては、チームとして弱みを最小化できていると良いなと思います。

これが、採用になるとその人一人と採用側の問題ですから、採用側がその人の弱みを許容できるか、活かすことができるかがポイントです。弱みがあっても、あまりある強みがあれば、そちらの魅力が勝って採用ということもあります。「弱み」を言えない人は、大した「強み」も持っていないことも少なくありません。

私の弱みですか?たくさんあって嫌になりますが、思いつくだけ列挙してみましょう。

weak

・マネジメントが苦手(自分の思い通りにならないと気が済まない)
・気が短い(仕事の納期の遅れに超うるさい)
・飽きやすい(同じ仕事を長期間続けられない)
・コミュニケーションが雑(言い換えると、無駄がなく早い)
・相手の感情を汲み取った上でコミュニケーションできない(よって度々炎上する)
・誤字脱字が多い
・最後の詰めが甘い
・法律や技術に弱い
・財務も会計など実務は弱い
・語彙力が豊富ではない
・文章の仕事をしている割には文章が下手
・営業(不特定多数の人にモノを売る)
・うぇいうぇいと大人数でのコミュニケーション

パッと思いつくだけでこれだけありますね。。。とはいえ、正直この全ての弱みを克服する必要はないと思っています。上記の弱みから考えるに、専門的な知識はアウトソースすれば良い。まあ、もう少し他人に優しくコミュニケーションできた方が良いとか、正確性を身につけた方が良い、くらいだと思っています。

あとは誰も、私に「文章の上手さ」など期待していませんw TheStartupが一定の読者を獲得できているのは、「他メディアにない視点があるから」であると分析しています。その視点を提供できれば、文章が多少下手でも、読者にとって価値があるんです!(開き直りかよw)

逆に自分で思う強みはこんなところかなと思っています。

・PDCA能力(案外素直に受け入れる)
・分析力(≒数字はわりと好き)
・ゼロイチで物事や仕組みを作る
・交渉(有利な条件を引き出す)
・マーケティング(モノを売る仕組み作り)
・企画(普通の人よりは多少面白いモノを考えてきたはず…)
・スピード(仕事遅いと言われたことはほぼない)
・真面目で勤勉(良くも悪くも…)
・視点の独自性

パッとはそんなところかな。いやいや、お前の分析力なんて強みじゃなく弱みだろw とかツッコミがあればぜひ。少なくともTheStartupに一定の読者数が付いているのは「分析力」と「視点の独自性」が、既存の競合メディアよりは優位性があったからだと思います。競合と全く同じ記事を出していただけでは、規模が大きい方が有利ですから。

話を戻して、弱みについて。嘘偽りなく、弱みを語れる人の方が信用されると思いますし、その弱みがあるとこの仕事は適性がないから、やめておいた方がいいと採用側が判断してくれます。適性がない仕事に採用されてしまうことほど、不幸なことはありません。

例えば私の場合は、「正確性」に難ありですから、官僚とか確実に向いていませんね。あとは「マネジメントが苦手」ですから、大企業の部長とかも無理でしょう。一人でやっているのが、性に合うのです。ストレスないですし。弱みを正直に申告することは、事前にミスマッチを防ぐ作用もあります。

弱みを認識できていない人は、マネジメントする上でもすごく困ります。例えば、「君、納期全然守れないけど、締め切りを守れないという弱みがあること認識してる?」と聞いても「うーん。。」としっくりきていないこととかがあると、そもそも弱みを弱みとして認識していないので、弱みを認識するところから始めなければなりません。そこに付き合うほど、暇な上司ばかりでもないですからね。

自分のことをよく知ること。主観と客観のずれがあまりない状態にあることが望ましく、強みと弱みを説明した上で、それでも相手のビジネスに役立てると思わせることができるかが、優秀さを測る一つの指標ではないかと思いました。

みなさんもぜひ「弱み」を認識し、周りの人に自分の弱みを語ってみてください。下手なプライドが邪魔をするかもしれませんが、そんなプライドを持っているやつほど、微妙なやつはいないと思います。



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