売却狙いのアーリーステージの資金調達戦略

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2014年から2015年にかけて国内でもスタートアップのM&Aが活性化してくると踏んでおり、本誌ではM&A関連記事を意図的に増やしています。起業するとIPOを目指す人が多いですが、リアリストな僕としては全然M&A狙いの起業ももっとあっていいと思う。「IPO狙いじゃない案件には投資しない」という投資家もいるようですが、売却狙い。全然アリじゃないですか。

そんな売却狙いのスタートアップが考えておくべきは最初のラウンドの資金調達。アーリーステージで数千万円から1億円程度調達し、10億円程度で売却するという案件がもっと増えてもいいと思います。カジュアルな起業です。なぜか日本ではそういうカジュアルな起業は軽んじられ、「IPO目指せよ!オラオラ」的な風潮が強いと感じるのは僕だけでしょうか。

M&A狙いであれば当然どの買い手がいくらくらいで買うかというのを推測しておくべき。今回論点にしたいのは「買い手候補となる企業からアーリーステージで出資を受けるべきか否か」です。

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例えばコマース関連で起業し、楽天に売却したいと考えるとしましょう。最終ゴールは楽天への売却ですが、その際にアーリーステージで楽天から出資のオファーがあった際には受けるべきでしょうか?

買い手側としては有望なスタートアップは早いうちに安い価格で買収したいというのが普通の心理です。アーリーステージで出資して、それなりに事業が伸びればマイルストーンを引いた買収みたいなスキームもあり得るでしょうが、売り手側としては買い手候補を何社か見つけて入札にした方が売却価格は釣り上げられます。買い手候補がアーリーステージで既に株主にいる場合、その買い手候補は売却の足枷になったり、入札させる際に良い条件を引き出す障害になる可能性がある。僕はそう考えます。

なので売却志向のあるスタートアップはYahoo!楽天DeNAGREEあたりからのアーリーステージでの調達は避けた方がいいんじゃないかと僕は思います。サロンでもネタにしましたが考え方はいくつかあって、高い事業シナジーが見込めるならアーリーステージでも受け入れるべき。CVCでも独立性が高い例えばGREE Venturesのようなところであれば、本体との関連性が低いからいいのではないか。というような話がありました。

一方で20億程度での売却が目安となるとホームランを当てにいきたそうなジャフコやGCPのようなVCは投資意欲がなくなると思うんですよね。アーリーからでも3-4倍程度のリターンでもいいからキッチリ回収できれば良し。とする投資家の層というのが案外薄い気がしています。アーリー案件中心のVCなら許容範囲が広いと思いますが。

最後に論点を整理しておきましょう。

■売却狙いのアーリーステージの資金調達戦略

1:20億程度の売却案件はもっとあって良いはず
2:立ち上げ時から売却狙いの案件は買い手候補先から調達すべきか否か
3:買い手候補先からの調達には事業シナジーメリットがあるが、売却時の価格交渉で入札制に持ち込めず、買い手候補先から調達しなかった場合と比べて自由度が下がる可能性もある

自分が売却狙いのアーリーステージの起業家であればどういった資金調達戦略を取るか、ぜひ考えてコメントしてみてください。

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