最近、街中でデジタルサイネージを見る機会が増えた気がする。聞けば2014年に入ってからJR駅構内や改札外でデジタルサイネージの設置箇所が急増しているという。まだまだ広告商品として認知が低いデジタルサイネージ。その実態は如何に。ということで、マイクロアドデジタルサイネージ代表取締役穴原誠一郎氏に話を聞いた。
今後本誌では少し先の未来の広告の話を「NEXT ADsシリーズ」として小連載で取り上げる。かもしれない。
2020年に1,600億円市場:小さな場所の広告枠化が加速
まずはマクロ観点から。2012年は214億円だった市場が2020年には国内で1,600億円の市場へ成長するという調査がある。
参考記事:第1回 届けたい時、届けたい人に、届けたい情報を。ネットワーク化で街中の広告が変わる
デジタルサイネージが設置される場所はどこか。「公共スペース」と総称されるが具体的にはこのような場所が想定される。
・交通機関(駅、空港、バス停)
・学校(大学)
・病院
・商業施設
・屋外広告(OOH)の代替?
最も身近な駅で考えると、2014年に入ってから渋谷駅の柱がデジタルサイネージ化したり、山手線の車両以外でも社内のデジタルサイネージ(通称:トレインチャンネル)が急増している。新規の車両を作る際に、トレインチャンネルを入れる場合が増えているため、今後の増加も見込まれる。
現在は最低1週間単位で想定imp数売りが主流のようだ。
例えばOOHで都内で最も大きい枠といわれる新宿アルタと有楽町マリオンで1週間約1,000万円。
もちろん1週間ずっと同じ広告が流れるわけではなく、想定imp数で割ると1放映単位の15秒で3,000-5,000円ほどの単価感ではないかと想定される。(市場が未成熟であるがゆえに単価感は相当ぶれやすい)
アルタのような大きい枠は純広として売れるだろうが、駅単位やバス停単位など、ロングテールで今まで広告枠化されていなかった場所が広告枠化されることで、アドネットワークの需要が出てくる市場となる。デジタルサイネージのアドネットワークであるMONOLITHSをマイクロアドデジタルサイネージは販売している。
広告枠の供給は整うが、効果測定難による需要の伸びが課題
次にデジタルサイネージの需給について掘り下げて考える。
供給側はこの世界では「ロケーションオーナー」と呼ばれ、ロケーションオーナーにとってはデジタルサイネージを導入しない理由は下記の三点からほとんどないといえる。
1:液晶単価の下落により導入ハードルが下がっている
2:液晶の方がOOHでのポスター張り替えよりオペレーションが楽
3:広告表示を切り替えられるため収益機会が増える
デジタルサイネージによってはタッチパネルを搭載するモノもあるという。QRコードより劇的に楽だし、クーポン取得などのコンタクトポイントになる。ロケーションオーナーにはデジタルサイネージで広告主が増加して収益機会が増えるのは喜ばしいことだ。
需要側となる広告主の反応はどうか。広告主にとってはインターネット広告と異なり、効果測定ができない点が最大のネックといえそうだ。TVと異なり「視聴率」のような指標もまだない。効果測定や指標の整備が広告主がデジタルサイネージへの出稿を増やすために必要不可欠となるかもしれない。
しかし、TVやインターネットだけでは広告予算を使い切れないナショナルクライアントには認知目的でデジタルサイネージにそれなりの規模を投下していく可能性は今後高まりそうだ。
商店街の提灯的なマイクロ・ローカル広告に活路
アルタやマリオンなどの大きな枠はTVCMに準ずるマス効果があるだろうが、ローカルな沿線の駅の改札やバス停などはニッチでimp数が限られる。しかし、ローカルにピンポイントで出すことで、その地域に住んでいたり通勤している人へのフリークエンシー(接触頻度)を上げることはでき、特定のユーザーへのフリークエンシーが上がればCVRが上がるというシナリオが想定できる。
例えば、僕がかつて住んでいた祐天寺駅の改札前の柱のデジタルサイネージ「東京苑」が帰宅時間の20時頃流れていて、それを10回くらい見ると東京苑に行っちゃいそうな気がします。僕はフリークエンシーの高さであっさりコンバージョンするタイプだと自分自身で認識しています。
こうしたローカルエリアでローカル店舗が広告を出す。これは新聞の三行広告、Craigslistの市場なわけですが、その市場をデジタルサイネージが奪い、さらに拡大させる余地があります。しかし、imp数の少ない枠を直販するのは面倒ですから、そこにアドネットワークの機会があります。
また、インターネット広告はリタゲなど自分の興味関心が最適化されすぎていて、偶発的な出会いが生まれにくくなっている。デジタルサイネージの強制的なプッシュ力はローカルな商圏で威力を発揮しそうですね。
こうしたビジネスチャンスはあるので、最後はやはり広告主側が継続的に出稿できる仕組み作りが重要ですね。インターネットで動画広告の普及の兆しがある中で、デジタルサイネージも動画の場合がほとんどですから、同じクリエイティブで出稿先として良い選択肢になるといいですね。日々生活していて、デジタルサイネージの存在感が増していると感じたので、(滅多にしない)緊急取材でお届け致しました。
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