最近とある知人に教えてもらった「センターピン理論」にハマっています。読者の方の中でご存知の方もそうでない方もいるかと思いますが、私が聞いた範囲によるとこの理論のソースは2つありました。
・リーンスタートアップの手法 (読んでないですが他人から聞きました)
・グッドウィルの折口氏の「 経営者の条件」という本に明記があった(勧められて読みました)
私が知らないだけで他にももっとあるかもしれませんが、センターピン理論というのは簡単に説明するとKey Success Factor(KSF)を1つに絞るとなんなんだ?ということだと私は解釈しています。
KSFを1つに絞ることがセンターピン理論である
成功した事業を後から考えてみると、複数のKSFが挙げられることが多いと思います。実際にKSFが複数あることは間違いではなく、成功とは複数のKSFの掛け算です。
そんなことは当たり前であり、プロダクトが良くてプロモが良くてキャンペーンも良かった!と成功要因を聞くと複数の要素の掛け算で答えがちで、気持ちはわかるんですが、結局何が一番の肝だったのか。KSFを全て並列に語ってしまうことは思考停止なのではないかと。
センターピン理論とは文字通りボーリングのセンターピンに喩えたものであり、そのピンを倒さなければ全てのピンは倒れない。そのピンをきっちり倒すことが事業の成功に繋がるというものです。ピンを倒しても横っちょのピンを1つだけ倒しても、ガータースレスレで事業はヒットしない。
KSFだと振り返り的な考え方になり実際に事業を推進している時は
KPIを設定してそれの達成に向けて努力していくわけですがKPIも並列ではダメでどのKPIがセンターピンであるかを見極めてそのセンターピンを徹底して倒しにいくのが事業戦略というのかもしれません。
独立事象としてのセンターピンを考え抜く
KSFの考え方だと色んな事象が連動してその事業は成功していると考え
たしかに最もらしい話ではあるのですが本当にそうなのか?と。
プロダクトのポジショニングが良くてブルーオーシャンでユーザーが中毒的に使いキャンペーンもバズって云々こういうのがKSFを並べ立てた説明であり
そうではなくどの要素が独立事象として巧く機能したかを考え抜く。
言うは易しですが行うは難しで、センターピンを考え抜くというのはなかなかやってみると難しいです。「あなたの事業のセンターピンはなんですか?」と聞かれて答えられない経営者はヤバいのではないでしょうか。
センターピンを見極める話は本質的にモノを見極められるかどうかの能力であり、いろんな人にこのネタを振ってみると相手の思考力が垣間見れると思います。難しいのですぐにはパッと当てられないかもしれませんが、深く考えようとする姿勢があるか否かは伝わるのではないでしょうか。
面接とかでも使える手法かも知れません。フェルミ推定ならぬセンターピン推定です。ネット系のビジネスプロデューサーの面接手法としてはピッタリではないかと思います。エンジニアやデザイナーを使いこなした経験があるからといって良いプロデューサーとは限りません。
「独立事象として成り立つ」ということが肝です。
センターピンに固執しすぎない
独立事象としてのセンターピンを見極め戦略の核に置き、事業の運用フェーズに入っていった時の話です。
センターピンを外している場合もなきにしもあらずであり、ガーターに限りなく近そうなこともあります。そういう場合は潔く早めに別のセンターピンを置いてそれを中心とした事業推進に切り替えるべきでしょう。この話が俗にいう「ピボット」というのでしょう。
本当はセンターピンではないピンをセンターピンだと思い込むことは
事業の致命傷になるのではないでしょう。事業責任者は毎日このセンターピンは本当に正しいのかと考え続ける必要があるでしょう。それくらい重要な考え方がセンターピン理論であると思います。
今日はセンターピン理論について語ってみましたが、話を聞く限り「そんなの当たり前じゃん」で終わってしまいそうなのですがこれが深いのです。簡単な話ではない。
これからも色々な事業を展開している方とお会いする機会があるかと思いますが私がその事業に興味を持った場合に「その事業のセンターピンは何ですか?」と聞くことが習慣になると思います。
あなたの事業のセンターピンはなんですか?
回答を用意する過程で気づけることが沢山あると思います。
ぜひみなさん、考えてみて下さい。