資金投下量×ユーザーグロースの金脈は、勝利の方程式の一つになる

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ざっくりいうと…

・ユーザーグロースの金脈がある市場では資金投下量で勝負が決まりやすい
・ユーザーグロースの金脈を極力早く見つける努力をすべし
・クラウドファンディング市場は既にユーザーグロースの金脈が見つかっていると思われる

スタートアップが主にVCなどから資金調達をする場合、調達した資金は主に下記の用途に使用されます。

1:人材採用費・人件費
2:プロモーション費

1の人件費は主にエンジニアやデザイナーを増やし、開発スピードを上げることで素早くユーザーニーズに対応するプロダクトのブラッシュアップに関わります。一方で2のプロモーション費はサービスをスケールするために各種広告などに投下してユーザーを獲得するための費用。

VCからすると2のプロモーション費をどこにどれくらい掛けると事業がスケールするかというマーケティング戦略の仮説が検証されていると、投資に踏み切りやすく、理想的なケースといえます。とはいえどのチャネルにどれくらい予算を投下すると順調にユーザーが伸びる。という金脈の兆しを見つけることができないスタートアップも少なくないです。

私も過去にマーケティング担当として様々なチャネルを駆使してお金を使ったものの、芳しい効果が出ずに、orzだった思い出もあります。そのビジネスにおいては予算を投下すればすぐにユーザー数が伸びてサイトも盛り上がるという即効性のあるチャネルはなく、結局は地道にユーザーを獲得する道を選びました。その時の教訓からこんなことを考えました。

1:ユーザーグロースの金脈がある:資金量で勝負が決まりやすい
2:ユーザーグロースの金脈がない:資金ではなく知恵や粘りで勝負

ユーザーグロースの金脈の兆しが見えたビジネスは、資金投下量とそのタイミングでスケールスピードが決まると思います。当然ですが。金脈の兆しはわかりやすいものとわかりにくいものがあります。

一時期のグルーポン系ビジネスは営業マンと広告を増やせば売上が積み上りやすいモデルというわかりやすい金脈がありました。そこで国内で勝ったのは、資金投下量とその実行スピードが早かったグルーポンであり、後発のポンパレはリクルートの資金力にモノを言わせて追い上げました。しかしその他多くのグルーポン系サイトは消え去っていきました。金脈の兆しがわかりやすいものは参入障壁も下がりやすく、レッドオーシャン化しやすいといえるでしょう。「勝てそう」と思ってしまうからです。

一方のユーザーグロースの金脈の兆しが見えにくいビジネスについてどう考えるべきか。VCの観点では、この場合は経営チームに賭けようとか、そういう発想になりがちだと思います。いつか金脈が見つかるかもしれない。時間掛ければ伸びてくるかもしれないと。ゆえに競合の参入も多くない。これはギャンブルと一緒という考え方もでき、合理的な投資とは言い難いと思いますが、当たればでかい場合もあり、VCとしてはポートフォリオに数社くらい入れてもいいかなと考える方もいらっしゃるでしょう。

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図表のように、ベンチャー投資において勝ちやすいポジショニングは市場が大きいことは前提条件として、「ユーザーグロースの金脈」が見えていて、「資金投下量が多い」パターンといえるかと思います。「金脈」というのがスタートアップにおいては見えずらいので、スタートアップは様々なチャネルを駆使して早めに金脈の仮説を立てて投資家を回るのがベストです。

2013年3月現在で国内でこの勝ちやすいポジショニングにある市場の一例として「クラウドファンディング」を挙げておきたいと思います。プロジェクトを営業して集めたり、企画するところに優秀な人材を多く投下すれば、プロジェクト数が伸びて、成約金額も跳ねると想定します。プロジェクトの成約数が増え、成約金額が跳ねていけば、ソーシャルメディアでも認知も広まっていき、プラットフォームとしての力が強くなる。という良いサイクルに入るのではないかと。

最大のポイントはグルーポン式のコモディティ的な営業ではなく、「こんなプロジェクトなら面白いんじゃないか?」と高いレベルで面白い企画を作れる発想力とそのプロジェクトを創り出せる実行力の高い人材を揃えることです。そういう人材の採用を資金力で何とかすれば良いのではないかと。

シリーズAで数億円入れるVCがReady for?あたりに出資して、どうスケールさせていくのだろうかと1年前くらいから妄想していたのですが、大人の事情からか、未だ実現していないようですね。クラウドファンディング分野においては企画力と実行力に秀でた人材を集めさえすれば、今からファンド主導で立ち上げても勝てそうな分野であると感じています。

シリーズA以降のラウンドを主導されるVCの方々は、この「資金投下量×ユーザーグロースの金脈」が機能するマーケットを素早く見極めてある程度まとまった金額を投資実行することで勝率が上がっていくと思われます。と私が指摘するまでもないでしょうが、シリーズA以降のラウンドでもこの方程式が全く当てはまってなさそうな投資案件も多数見かけることは事実です。

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