最近心なしか、「広告型メディアの限界」的な記事を見かけることがあります。
テキストメディアに限った話ですが、すごく簡単に定量化して話すと、広告メディアは1PV=1円になれば優秀とも言われており、仮にスケールしても1億PV=月商1億円みたいな話です。
1億PVあるメディアというのは国内ではそこまで多くないはずです。
課金メディアの月商と月次の新規記事数から1本あたりの生産性を比較してみると下記のようになります。
☆NewsPicks
月商:約3.3億円(決算資料より)
有料会員数:約10万人
月額:1,500円
想定課金月商:約1.5億円
月間新規記事本数:約200本(1日6-7本:目視)
1記事単価:168.3万円☆StockClip
想定月商:約0.3億円
想定有料会員数:約1.5万人
月額:1,980円
月間新規記事本数:約90本(1日3本:目視)
1記事単価:約33.3万円☆ウメキワークス(自社なので実績値)
想定月商:約165万円
有料会員数:500人強+法人会員十数社
月額:3,000円
月間新規記事本数:6-8本
1記事単価:約23.5万円(月7本と仮定)
厳密にはNewsPicksは広告事業と課金事業の売上が半々くらいです。よって、課金のみに絞れば1記事80万円くらいでしょう。
StockClipも広告収入があると思われます。ウメキワークスは単品課金もそれなりにあるため、グロスの売上+20〜30%程度伸びます。
課金型メディアの場合、1記事あたりが生み出す売上は最低20万円〜良い感じだと150〜200万円となります。
一方の広告メディアの場合は、1PV=1円と仮定すると(これも優良メディアの場合であり、実態は1PV=1円に満たない場合が多い)1記事で100万円稼ごうとすると100万PVが必要です。
100万PVをコンスタントに出せるモンスターメディアなどあまりないでしょう。ヤフーニュースやスマートニュースくらいです。しかもそれらの広告メディアはコンテンツを内製していない、プラットフォームです。
元記事が消えてしまっているのですがw NewsPicks移籍前の東洋経済の佐々木さんに「プラティッシャー論」を聞いたのが2014年初頭のことでした。NewsPicksはプラティッシャーにより、課金と広告の比率が半々で1記事あたりの生産性が非常に高いプロダクトに進化しています。
かたや東洋経済オンラインは2017年10月に4億PVを突破したようですが、その後は右肩下がりで3億PV程度です。サイトを見ても広告がさほど入っているようには見えず、1PV=1円とは程遠い状況と思われます。
ランキング記事でページ分割でPVを荒稼ぎしても、メディア価値は向上しないということです。SNSでも見かけなくなった。3億PVで月商1億円あれば良い方じゃないですかね。
NewsPicksは1記事で168万円も生み出しているので、もっと記事数を増やした方が良いとか、クオリティを上げるべきだとか、イノベーターズライフを全20回とかで無駄に記事本数を稼ぐな、5記事程度でまとめられるだろ。とかあるでしょうが、今後も絶妙な塩梅で舵取りをしていくのだと思います。
1記事168万円の売上を、広告制作の原価とか動画へのチャレンジの原価に割いているのでしょう。テキスト記事1本の原価は、デザインを含めてもよほど高くても10万円程度だとは思います。
わかりやすかったのでNewsPicksにフィーチャーしましたが、課金メディアはスケールすると1記事あたりの生産性が向上しますし、過去記事からも月額課金転換や、ウメキワークスのような単品課金販売もある記事は、過去記事の販売の積み上げも馬鹿になりません。
何が言いたいかというと、テキストメディアの場合、広告オンリーのビジネスモデルはキツくないか。肌感覚的に、ページ分割なしで10万PV取れればバズっているレベルであり、全記事バズれって結構きつい話ですよ。
アプリにユーザーを溜め込んでいる場合、1記事あたりPV数はもっと取れますが、それでも1記事平均平均100万PVは日本語メディアでは不可能です。
久々にメディアの収益モデルの話でした。
最近の記事更新はほぼウメキワークスに移行しているので、そちらをご覧ください!