B Dash Camp2018Fallのセッション内容をご紹介します。
登壇者(敬称略)
スピーカー
早川与規(ユナイテッド)
亀山敬司(DMM.com)
高橋広敏(パーソルホールディングス)モデレーター
朝倉祐介(シニフィアン)
各社のM&A実績と戦略
☆パーソル
2015年以降は海外・資本提携を進めている。ベトナムやオーストラリアの会社を買収したり、国内だとシングラーというスタートアップを買収している。M&Aだけではなく、マイノリティ出資での業務提携も幅広く増やしている。
相手に合わせるかなり柔軟なM&Aスタイルをとっている。買収先の良さが活きることを意識している。
☆DMM
既存事業にくっつける前提でシナジーを狙う買収(東京ビットコイン研究所や、オンラインサロンシナプスなど)と、BANKやnanaのような既存事業と全く関係ない、金は出すが口は出さないという買収と、アフリカECや電子マネー、ベルギーサッカーなどの海外買収という3パターンがある。
アフリカ案件は亀山会長が判断している。
今後DMMはマイナー投資を始めるらしく、DMM VENTURESとDMM GAMES VENTURESという2つの投資事業を始める。
ちなみに、上場基準としてエロが1/3以下であれば東証的にOKなようで、DMMが株主にいても上場審査には問題ないらしい。
☆ユナイテッド
経緯的に4つの企業が合併して出来た経緯があるので、PMI経験が豊富。
新規領域(アラン、Smarprise、キラメックスなど)とコア事業強化(トライフォート)の2パターンがある。
新規領域に関しては一桁億円で種を撒くような感覚でやってきた。投資先のメルカリの売却益でキャッシュリッチになるので、大きいサイズのM&Aをやっていく方針。既存事業であるアドテクやコンテンツ領域でのM&Aも今後はありえる。
今後は借入知れてでもM&Aしていきたいと考えていて、100億200億のM&Aもあり得る。
M&Aはどのように発生しているのか
パーソル高橋:既存の事業領域は知り合いづてが多いが、新規領域や海外はB Dash Campなどのイベントで買収候補先と知り合うことが増えてきている。ロングリストを作ってドアノックするのは、効率が悪いと感じる。
DMM亀山:飲んだ勢いですね(笑)実はHPに「M&Aの申込先はこちら」という応募フォームがある。ITに限らずなんでもあり。なんでも来てください!awabarに来ればいいよ!(筆者注記:時間は念のため非公開にしておきました)
ユナイテッド早川:業界の知り合いが多いので、知り合い経由でくるものが成立する確率が高い。買収対象企業の人を元々知っていることも多い。トライフォートに関しては、自分がサイバーエージェント時代に大竹CEOが新卒入社してきたという縁があった。
3社ともFA(ファイナンシャルアドバイザリー)経由より、知人経由で決まることが多いとのこと。
バリュエーションはどう決めているか
ユナイテッド早川:上場企業なのできちんと算定する必要がある。第三者機関に依頼してDCFで算出したりする。基本的に100%買収になるようにしていて、買収時は60-70%の買収になることもあるが、残りはアーンアウトにしている。
DMM亀山:未上場なので、さほど買収額にうるさくないが、BANKは出しすぎた気もする(笑)既存領域以外はシナジーはないので、説明しにくい。
パーソル高橋:上場しているので、マルチプルとDCFはみるが、基本的にやりたいかどうかだが、たまに株主に怒られることはある。買収後のシナジーを加味した事業計画は描きやすい。
朝倉:トップラインのシナジーはどう見込むのか?
パーソル高橋:顧客基盤を活かせるものであれば、試算しやすい。
ユナイテッド早川:シナジーはあればいいくらいに捉えていて、インターネット何が来るかはわからないので、インターネットかすっていればなんでも検討する。
各社のPMI方針
パーソル高橋:買収前に条件についてよく話し合っている。放任ということはなく、各社ごとに調整している。
DMM亀山:財務と法務チェックはするくらいで、ほとんど放任になる。予定通り数字がいっていれば何も言わない。買収先から要望があれば、資金やDMM本体の人も送り込む。サービス名に「DMMなんちゃら」となれば、TVCMの広告費は半分になる。
ユナイテッド早川:経営者同士信頼関係があるということを元に放任している。事業計画に沿っていれば特に何も言わない。経営陣も変えない。タレントバイの側面もあると考えていて、買収先の経営者にユナイテッドの執行役員を兼務してもらう場合もある。放任なので、買収先の経営陣が給料いくらとっているかとかは、知らない。
朝倉:ロックアップについてどう考えているか
DMM亀山:あまり意味がないと思っている。男気!以上!
ユナイテッド早川:男気!という考え方には共感。買収先をやる気にさせるかは買収側の大きな仕事だと思う。
パーソル高橋:ロックアップかけることもあるが、今まで特に悲劇的なことは起きたことがない。
今後の買収領域のイメージ
DMM亀山:わからないね(笑)VCなどトレンドに敏感な人の考えを取り入れていく。人柄とか周りの評判を含めて、決めたりしている。ITだけでは終わらないアナログな会社との付き合いもけっこうあるので、そういうところにテクノロジーを入れていく窓口になりやすい。IT以外の業種も見ていきたいし、市場が大きいと考えている。
ユナイテッド早川:大きな波を探すためにM&Aをやっているというのが、正直ある。経営者も起業家や事業家、ゼロイチや1から10を作る、などいろいろいるので、上手くそういう人たちが絡み合える組織にしたい。
パーソル高橋:我々の領域である、仕事・働き方に関しては激変期だと思うので、そこに少しでも接点がありそうであれば相談いただけると嬉しい。人がどうしたら幸せになれるのか、とか健康や働き方やIoTなどの軸で興味はある。
朝倉:最後にみなさんから、買収候補先の方々にひとこと!
ユナイテッド早川:私、堅そうに見えますが、実はチャラいんでお声がけください。
DMM亀山:こう見えて実はちゃらくないです!チャらく見せて、上手く引き込んで、真面目に仕事させます。今夜飲みに行くんで、来てください。VCにLP出資もしちゃうよ!たくさん唾をつけていきたいと思います!
パーソル高橋:真面目な会社ですが、遠慮なくご相談いただけると。
セッションの内容は以上ですが、M&Aは今後も増えていくといいですね。個人的にはユナイテッドのデューデリはキツそうだと思いますが、DMMは良い意味でもカモになってくれるかもしれないと思いました。