マーケットは「有無」ではなく「規模」が問題だ

Pocket


スタートアップ、特にアーリーステージでまだプロダクトがない、もしくは出たばかりの段階の時。

起業家はしつこく「そのプロダクトってマーケットあるの?」と聞かれると思います。

「このサービス、マーケットそんなにあるの?」
「いやー、マーケットはあると思うんですよね」

そういう会話、してると思います。

ここでストップ。マーケットの有無が問題ではなく、規模が問題なんですよね。マーケットの有無について語っている人々は、基本的にイケてなくて、事業経験がないのではないでしょうか。

しかし、特に新しい領域の場合だと(2016年現在だとVRとか)今後立ち上がってくる領域なので、市場規模の予測を上手く立てられない場合も少なくないのだと思います。たとえば、2006年頃に10年後にSNS広告市場がここまで巨大になることを予想できたでしょうか。矢野経済でもその予測は怪しいところではないでしょうか。

矢野経済的なサムシングを鵜呑みにするのも危険です。彼らの調査結果は、過去のファクトは信じても、未来予測は絶対ではありません。

スタートアップのプレゼンでよく見かけるのは、「我々が狙っている市場は1兆円規模です!」というもの。これは「マーケットはあります!」より定量的なのでマシではあるのですが、この手のプレゼンを聞くと結構辟易とします。(そういうのが好きそうな方も存在しますが)

weak

というのも、そのサービスは1兆円市場の中でも特定の領域を指し示すはずであり、1兆円市場というのはより細分化できるはずだからです。感覚値的には、数百億円〜1,000億円市場の中で、どれくらいのシェアを目指すのか、といった話が現実的な気がします。その際に、この市場は現在500億円だが、年率10%での成長が予測されている。その根拠は、近接市場がオンライン化していくためである。とか、そういうロジックがあると良いです。

とはいえ、細分化しにくい市場があるのも事実でして、例えばオンライントラベルエージェンシー(OTA事業)は1.5兆円の市場ですというのもあります。

例:1.5兆円の市場シェアを0.5%奪えば上場できる。上場承認のエボラブルアジアの実態はOTA(梅木note)

市場規模予測のダメそうな例を。たとえば、ギフト市場って矢野経済曰く、2014年に9.7兆円らしいんですよ。それに対してgifteeが「我々が狙う市場は9.7兆円あります」とか言ったらダメだと思います。

まずgifteeが狙う数百円単位のギフト市場を分解し、そのオンライン化率を調べる。たとえば数百円単位のギフト市場は2,000億円あり、オンライン化率は5%とすると100億円。この中のシェア10%を狙う+オンライン化率は年率1%で上がっていくため、5年後には200億になる。その10%だと売上20億円。その程度の市場だと、JAFCOだぜとしては投資価値がないな、みたいな。

適当な例ですが、それくらいの説明は簡易的にあってくれよなと。

マーケットの見極めが、案外ファジーである。過大評価していたり、過小評価していたりすることは、決して少なくないと思います。特に様々なマーケット見てきた累積経験のある投資家側ではなく、起業家側は日々マーケットの試算をしているわけではないので、甘くなりがちな傾向にあり、ゆえに3年目で爆発的なグロースをしているという根拠の薄い謎な事業計画になりがちです。

既存市場をリプレイスするのはわかりやすいですが、一番難しいのは今までになかった習慣をサービスとして提供する場合です。そこに関しては難易度が高く失敗確率も高いですが、当たるとホームランになる。Facebookとか、同窓会のオンライン化という見方もあるでしょうが、毎日のように他人に「いいね!」する習慣など、今までなかったわけで、新たな習慣を生み出したといえるでしょう。

起業家の読者のみなさん、自社のサービスが狙う市場規模とそのポテンシャルを「正確に」説明できるでしょうか。

ぜひ投資家にプレゼンする前に、己に問いかけてください。



Pocket

コメントを投稿する

「マーケットは「有無」ではなく「規模」が問題だ」に対してのコメントをどうぞ!