未上場で数十億円後半の資金調達や時価総額を付ける危険性

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10億円調達が珍しくなくなった昨今、50-100億円の時価総額が付く未上場企業が増えています。一方で、レアジョブとか(公募20億…)50-100億円から200億円くらいでのIPOも増えいます。

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未上場で時価総額が上がりすぎるとIPOやM&Aでの投資家から見たEXIT時に価格が折り合わずに苦戦することが増えるのではないか?売上や利益がそれなりに上がっていたり、更なる投資で上がる見込みがあるのであれば数十億円調達して、B2CサービスならTVCMに投下して伸ばしにいくというシナリオも考えられますが、むやみやたらに調達して時価総額を上げてしまうことに僕は懐疑的です。

100億円の調達を当たり前にしたい、日本のスタートアップの資金調達事情

この記事がここ数日話題になっていましたが、ソーシャルでの反応を見ると記事の書き方がミスリードを生んでいると感じます。「100億円調達」「スタートアップ」という単語がタイトルに並列されており、あたかも未上場企業での調達の話かのように見えますが、文中にはそのような表記はない。上場後も見据えた上で100億円調達というニュアンスなのではないかと僕は読みました。ここは「未上場時」なのか「上場後も」なのか記事で記載してほしかったところです。いや、未上場時の話だったりして…汗

未上場で100億円調達はよほど売上や利益が上がっているクレイジーなgumiでもない限り、IPOでもM&Aでも出口が狭くなるので止めた方がいいと思う。よほど創業者の株を放出して希薄化するなら別ですが。

2014年は資金供給側のファンドが増え、需給バランスがやや崩れていることからも、未上場市場の資金調達が加熱しており、一部の人気企業に巨額の資金が集まりやすい環境にあります。

そしてスタートアップあるある風に言うと大型の資金調達や頻繁にメディアに登場しているスタートアップはそれだけで「凄そうだ」と思われがち。各企業が無策だと言うつもりは毛頭ないですが、大型資金調達×頻繁なメディア露出=当該スタートアップの過剰評価、という方程式が成り立つように見えます。

スタートアップにとっては市場からの過剰評価を元にレバレッジを掛けて、世間のイメージに実像を合わせにいくという経営スタイルを取るところもあるでしょうし、それを否定するつもりはありません。しかし、実態以上に過剰評価されているところもあるということはThe Startupの読者には認識してほしいと思います。

モメンタムに流されず、自分の頭で考えろ。ということです。

むやみやたらに高い時価総額で数十億円調達しても、上場時にさほど利益が出ていなければ未上場時とさほど変わらない時価総額での上場となる。売却の場合はダウンラウンドを余儀なくされることもある。投資家にとっては上場後すぐに売らなければ良い。売却では優先株の条項があるから良い。という考え方はあるでしょうが。

しかし、必要以上に高い時価総額が付いている印象があります。そしてそれは個別案件で見た根付けではなく、マルチプルで相場観に引っ張られた値付けになっている。個別企業を伸ばすための資本政策に本来マルチプルは必要ないように思えますが、未上場企業の時価総額なんてノリで決まっているといっても否定できない側面があるので、仕方ないのでしょうか。

記事タイトルは少し過剰にしましたが、売上利益が出ているもしくは出る見込みのある企業が未上場で数百億の時価総額を付け数十億調達するのは全然良いと思います。しかし、ビジネスモデル的に営業利益を二桁億出すのが相当難しそうなモデルの企業などがそういうことをやると、出口で苦しむので危険じゃないですか?というのが本稿の最大の論点です。

Tech Crunchへの思わぬカウンターとなりましたが、イベントに参加する際はレポートを書くだけではなく、「どう思ったか」という視点がないと付加価値にならない。The Startupの競合メディアの皆さんは、ログミーに駆逐されないように頑張ってくださいね。

*誤解なきよう注釈しますが、あくまで日本国内市場の話であり、海外で未上場で数百億円調達するのは比較的普通のことです。

LINE田端さんも参加する、会員数225名突破のUmeki Salon
内容の参考:【きまぐれUmeki Salon第1号】LINE田端氏の降臨など

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著書、グロースハックYahoo!で要約を紹介。

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今日も元気にツイート中。 @umekida

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