たまにはライトな記事を。今更ではあるものの、今やヤフトピに次ぐ情報系ポータルメディアといえるR25の立ち上げのお話。R25って2004年創刊だったんですね。僕が大学に入学した年です。R25に乗るとそこからヤフトピに飛ぶケースも多く、私もPinterestの記事を書いた時にその現象の恩恵を受けました。
特にネット企業の広報の方々にとっては、ヤフトピよりも対策難易度は高いでしょうが、R25に露出できると良い認知効果になるため、押さえておきたい媒体の一つでしょう。スタートアップにとっても、1社単独での掲載は難しいでしょうが、注目ジャンルとして紹介される場合があり、そこに入れるとマス向けへの認知として良いと思います。例:クラウドファンディング徹底比較 一度登場したくらいではインパクトは弱いでしょうが、R25のようなマス向け媒体に定期的に露出できればボディーブローのように認知が進んでいくと思われます。
今回は本書を読んで、メディアの立ち上げや運営に関するtipsをいくつかご紹介します。
■1:ターゲット調査は定性調査で本音を聞き出す
R25は首都圏のM1をターゲットにして立ち上げたわけですが、M1に対するwebアンケート調査のような定量調査だけではなく、200人くらいに定性調査を行ったようです。印象的なエピソードとして、定量調査では「新聞を読んでいる」との回答が多く、定性調査でも最初は「新聞を読んでいる」というものの、打ち解けて会話が進んでいくと「実は新聞を読んでいない、読んでいると思われたい」という本音が出てきたとのこと。
こうしたインサイトを探り当てることこそが定性調査の醍醐味であり、定量調査だけでは不十分なケースが多いという証かと思います。インサイトをベースにコンセプトメイキングをする。私自身、人々にどんなネットサービスを利用しているのか、なぜ利用しているのかを日常的にしつこく聞いていたりします。
メディア運営においても、数字だけではなく、読者の感想に耳を傾けることが重要であると思います。ソーシャルメディアで声を拾いやすい時代になったとはいえ、ソーシャルメディアには出てこない声を積極的に拾いたいものです。
■2:読まれるシチュエーションの想定
R25は「オンとオフの境目である木曜日に電車の中で読む」ことを想定されたようです。フリーペーパーという特性もあるのでしょうが、明確に読まれるシチュエーションを想定するのは結構難しいです。例えばThe Startupは記事のボリュームが重すぎるので(3,000文字くらいあります)電車の中で読むには不適切である、などの仮説が挙げられます。配信する曜日や時間帯なども適切なタイミングをもっと探りたいところです。
■3:NGワードを設けたコンテンツの運用
これは面白いと思ったのが「サルでもわかる」などの表現は使わないというNGワードを設けていた点です。R25のターゲットであるM1は「新聞を読みたいけど、その前提となる知識が不足している」状態にあることが多く、その「そもそも論」をわかりやすく解説するコンテンツを提供することがR25のコアバリューであると捉えていたようです。
そのターゲットの心理を逆なでするような「サルでもわかる!クラウドファンディング」などそういう表現はターゲットが離れる恐れがあるとしてNGとしたようです。この辺のメディアのトーン&マナーの違いも面白いところです。ブログメディアの場合は断定し切ってしまった方が面白いとも言われていますが、この辺は運営者としてはリスクを感じるところでもあるなと正直思っています。
読んでいてヤフトピやR25やBLOGOSなどのメガポータルを作る仕事に興味を持ちました。メガ媒体の持つ影響力に、運営側から触れてみたいですね。メディア運営のやり甲斐って、読者からレスポンスがあることだと思うんですよね。昨今は記事コンテンツ競争が本当に激しくなった感がありますが、どんなコンテンツがウケるのか?記事コンテンツは人々にどんな影響を与えうるのか、引き続き注視していきたいと思います。