本誌の固定読者の皆様は僕がプレスリリースを送られることを嫌うことをご存知かと思います。
広報がメディアにプレスリリースを送れば載せてくれるとのではないかと思ている。もはやそういう文化が定着している気がしますが、こういう広報はなんて自分勝手なのだろうかと思ったりします。営業の売り込みと一緒で自分のことしか考えていないと。
メディアならどんな情報でも歓迎なわけがありません。メディアによって課題が異なり、欲している情報が異なるわけです。そこをヒアリングした上で企画提案や情報提供できる広報は強いよなと。
うちの媒体を大して読んでもいないのに「載せてください」とか言ってくる広報は最悪です。そういう広報は少し話せば「こいつ、うちの記事読んでないな」と見抜けます。相手の会社のHPを見ないで営業に来ているようなものです。なめんなよと。
広報でメディアの立場に立った提案が出来る人って、Web業界にはどれくらいいるんだろう。それなりの数の広報を通した取材をしてきましたが、そのほとんどが自社の利益しか考えていなくて、メディアの立場を考えたり、メディアの課題解決に役立とうという姿勢が見られることはなかった気がします。ごくたまにそういう人もいたので、全てとはいいませんが。
最近、コンサルティング力をいかにして高めるかという点が自分の中では課題となっていて、いろいろ本を読んでいます。ごく当然のことなのですが、相手の話を聞いて課題を把握することがコンサルティングの起点です。
なにも僕は戦略コンサルティングファーム「ウメキンゼー」を立ち上げて一流コンサルタントになりたいわけではありません。ただ、どんな仕事にもコンサルティング要素があるなと最近感じています。プロデュース業しかり、投資買収事業しかり。
M&Aに強いとある投資家に聞いて目から鱗だったのが、この言葉。
各事業会社の中期経営戦略を把握して、どういう事業がいつ頃欲しくなりそうかというニーズを探っている。
この方のトラックレコードにM&Aが多いのはまぐれではなく、各社のニーズを把握した上で、そのニーズを叶えそうなスタートアップに投資し、各事業会社の中期経営戦略に添えば買収提案をするということでした。
投資銀行のIBDでアナリストではなくパートナークラスであれば、こういう動きができそうですが、20代や30代前半ではできない大人プレイですね。
話が逸れましたが、M&Aを担う買収担当者も広報担当も、買い手やメディアのニーズをヒアリングして課題解決を提案するコンサルティングスキルが高い方が、良い仕事に繋がると思います。
ふと、振り返った時に「The Startupの課題ってなんですか?その課題であればうちのコンテンツを載せればお役に立てると思います!」そんなコミュニケーションを取ってくれた広報はいなかったよなと思いました。
The Startup自体、日経のような広報の皆様のお時間を割いていただくほどの媒体ではないことは百も承知ですが、猫も杓子もリリース送りつけるだけではなく、そういったコミュニケーションが起点となれば、結果は大きく変わるかもしれないのになと思います。そういう広報であれば、こちらもThe Startupをこう活用することで御社の広報課題に少しはお役に立てる。という提案ができるかもしれません。
とりあえず載せてくれ。そんな輩が多いのは残念極まりないことです。
そういうことで、コンサルティングスキルに自信のある広報の方は、ご連絡いただければお互いの課題を共に解決できるお取り組みができるかもしれません。広報の皆様におきましては、全般的にもっとメディアの立場をお考えになられたほうがよろしいかと思います。